ここの磯ラーメンはつとに有名だ。開店前のお店におじゃました。
店主の金野さんはごく普通の好々爺と言った第一印象。ところが、話を聞くうちに大変な努力と研鑽の人だと分かってきた。

海苔、ワカメの養殖から身を起こし、帆立、ホヤ、牡蠣と広げた。昭和50年に直売所を始めた。ヒントは近郊にできた果物の直売場だった。

こんの直売センター金野充雄さん

こんの直売センター金野充雄さん

「果物であれなら、ここは海辺の町だ、海産物ならもっと当たる」
冷蔵設備も十分でなかった。海と直売場を5馬力の木造船で何度も往復して新鮮な海の幸をお客さんに提供した。程なく冷蔵庫を導入、海水を入れた大きなバットで保存する方法を編み出す。

ある日、常連の釣り人から「この辺に飯を食わしてくれるところがあれば」と言う話を聞き、真剣に考え始める。奥さんと2ヶ月ほど話し合いをつづけ「やってみよう」と言う結論に。店舗の検査にきた保健所の職員の「ここなら『磯ラーメン』なんかいいね」と言う言葉をヒントに、磯ラーメンの“商品開発”を始める。ヒントを見つける達人だ。「塩味だね」と言う奥さんの直感から今の味にたどり着く。

「直売場も飲食店も競合がたくさん出た。そして消えて行った。うちは残ったんだ。天狗にならず努力すればいいんだ。」

震災があり、そして2013年4月に現在の地で再開。「神様にもらった命だからね。多くの人に感謝しています。その恩返しのつもりでやっています」

こんの直売センター

こんの直売センター

「ゴールデンウィークやお盆は長蛇の列でお待たせして申し訳ない。でも行列ができる店は陸前高田では1~2軒しかないよ」
そろそろ開店時間だ。おねえさんが入り口のブラインドを上げると、すでにお客さんが並んでいた。あっという間に店内は満席に。

磯ラーメン

磯ラーメン

磯ラーメンをご馳走になる。薄い塩味のスープにマツモやワカメの海藻と帆立貝。掛け値なしに美味しい。
一杯の磯ラーメンに映る人生の物語。金野充雄さん82歳。みんな、会いに行って。磯ラーメン食べに行って!

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