デパートの東北物産展などでも人気の高い気仙沼のブランド商品「金のさんま」は斉吉商店の看板商品だ。極上の美味しさの秘伝はこのさんまを炊く「たれ」にあり、つぎ足しつぎ足しで使い続けてきた言わば商品づくりの土台だ。

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2011年3月11日、津波は工場も社屋もすべてを呑み込んで流し去った。たれはいざという時のために一定量が真空冷凍で保存されていた。これを社員の一人がちゃんと持ち出して避難所に向かうが、津波が速かった。社員は命辛々難を逃れたものの、たれは失われた。しかし、数日後がれきの中からきちんとパッケージされたたれが見つかった。震災で生き残った秘伝のたれ。このたれの命脈が斉吉商店復興のシンボルとなった。

220db0706b2d1f3e5d9181c6101a120fb20ee552big斉吉商店は廻船問屋として長い歴史を持つが、30年ほど前から水産加工業に進出し、海鮮丼などを提供する飲食店も経営していた。震災後の翌年の5月に工場と店舗を再建スタートしたが、2階のスペースはしばらく空けたままにして飲食部門の再開を考えていた。「気仙沼は港町なのでお客さんに出す食べ物は寿司やお刺身なんですね。ところが、支援に来てくれたボランティアの皆さんや仕事関係のお客さんにうちのおばあさん(奥様のお母さん)がつくる料理を出すと、とてもおいしいと言ってくれるんです。大家族に出す家庭料理なんですよ。地元の物を愛情を込めて作る。」と斉藤社長。これが「ばっぱの台所」のコンセプトとなった。木材を基調とした大人数のダイニングキッチン。完全予約制でランチを提供している。気仙沼の食の話を聞きながら、ここで味わうもてなし料理。きっと美味しい昼餉のひとときになるはずだ。

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震災を契機にもう一つ変わったことがある。従来の商品を作ってただ流通に乗せるというやりかたを変えた。販売まで手掛けることによって消費者と向き合う、B to BからB to Cへの転換。専務である奥様の和江さんが販売の最前線に立っている。「震災でリセットできたんです。やっと最近このことの難しさが分かってきたところです。やるべきことがピンポイントで見えてきました。」

最後に、関西の皆さんにメッセージをという問いに、「大阪は楽しいとこらだし、大好きです。そして商いの原点の地ですし、こちらは随分遅れています。ぜひ来て見ていただいて、ご意見をいただきたいですね」と斎藤社長は語ってくれた。

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