かつて「すし海道」という宮城県の観光キャンペーンがあった。塩釜、石巻、気仙沼を結ぶすしの道の旅を促進する試みだ。気仙沼は寿司屋さんの集積が多いまちだ。

しかし、何といっても気仙沼は「フカヒレ」が有名。そこで気仙沼の寿司組合が中華のイメージの強かったふかひれをすし飯にもよく合う和風に仕立てた。新しいメニューとして発表したのは2010年の7月。19店舗で好調にスタートしたが、わずか8ヶ月後に震災が襲った。

昨年6月、このふかひれ丼が復活した。130~150グラムの大きさにグレードアップしたふかひれをドカンと載せた丼が、5000円台で提供されている。東京なら優に1万円を超える値段がついているはずだ。

寿司処「一心」におじゃました。港から緩やかな坂道を登り切ったあたりに看板が灯っていた。小野寺登さんご夫婦が二人三脚で35年の歴史を歩んできた店だ。

寿司処 一心

「津波は?」という問いに「店の通りの左右どちらも60メートル手前で止まりました。目の前はホテルなどが立つ小高い丘で守られた。この通り添いだけで7~8軒の寿司店があったが、津波を免れたのはこの店だけだという。

 

震災直後のお店周辺の様子

震災直後のお店周辺の様子

カウンターのお隣の常連さんがオーダーした「おすすめにぎり」もおいしそう。お願いしてちゃっかり写真を取らせていただいた。「ここのあぶり穴子も最高ですよ」というその常連さんのお言葉に従って、握ってもらう。うんー、その通り、香ばしい煮穴子が口の中で溶けて広がる。

おすすめにぎり

おすすめにぎり

そしてお目当てのふかひれ丼。噂に違わぬフカヒレのボリュームにまず驚く。

錦糸状にほぐしたヒレもふんだんに敷かれ、煮凝りにしたものも上に載せてある。口に入れると中華とは違い、サクサクほろほろの食感でまさに「フカヒレ」が実感出来る。和風のだしのうま味が効いている。すし飯との相性もしっかり。添えのお吸い物のタネはサメ肉と軟骨のすまし汁。堪能した。

DSC01573

情報通の奥さんのお話とそれに合いの手を入れつつ寿司を握る親方。絶妙のコンビネーション。「でもね」と奥さんの声がトーンダウン。「ここ避難道路の拡幅で立ち退きになるの」「えぇー、いつですか」「あと2~3年」「その後は?」親方が握る手を休めず「わかんないね、もう年だし」

一心の親方と奥様

一心の親方と奥様

皆さん今のうちです。気仙沼「一心」へ、急げ。

Share on FacebookTweet about this on Twitter