店に入って一瞬戸惑った。満席に近いお客さんはすべて女性。男は私だけ。ちょっと浮いている。緊張のためかコップの水を溢してしまう。地元女性の圧倒的支持を得ているということに違いない。靴を脱いで寛ぐキッズスペースがあり、赤ん坊を抱いた三人のママがランチで談笑中。遊具も置いてあり、後から入ってきた家族ずれの子供たちが早速遊び始めた。カウンターとテーブル席には若い女性グループが数組。お茶や食事を思い思いに楽しんでいる。

フライパン店内

フライパン店内

明治時代から続く地元のリンゴ園が営む農家カフェ。オーナーの熊谷克郎さんは34歳。表情の優しい人だ。「震災の時はまだ東京にいました。上野の甘味処で働いていて、震災を契機に高田に帰ってきました」と語る。緊急の復興作業がひと息ついたころ、支援に来ていたボランティアの人たちが始めた「ハイカラご飯 職人工房」のメンバーと親しくなり、一緒に自前のリンゴでエールビールを作った。楽しい仕事だった。

農家カフェ フライパン

農家カフェ フライパン

「その人たちが引き揚げることになり、もともと飲食店をいつかやりたいと思っていたこともあって、じゃあ、自分でやって見るかと」2014年7月フライパンがオープンした。「りんご」がコンセプトの一つだ。もちろんりんごエールも置いているが、今年はすでに完売。新しいのは年明けに仕込み3月末か4月にできあがる。

黒板にある「よねさきりんごバーガー」をオーダーしてみる。たっぷりの野菜に厚めのベーコン、その上に輪切りのりんごが載っている。サラダとフライドポテトが添えてあり、結構なボリュームだ。リンゴのシャキシャキした食感と酸味がベーコンと野菜に抜群に合う。意外な取り合わせに感動。具だくさんのスープもうれしい。女性に人気の訳だ。

フライパン看板

フライパン看板

りんごと言えば青森や長野のイメージでしょう?でも陸前高田の米崎りんごは負けていません。味に関しては絶対の自信があります。実はここのりんごは関西で多く流通しています。大阪の皆さんも知っている人がいると思います。味にうるさい関西の方に認められているということなのかもしれません。」

りんごバーガー

りんごバーガー

これからの抱負を聞くと、「小さな6次産業化」と即座に答えてくれた。私にはすでに、「立派な6次産業」だと思う。春にはりんごエールを飲みに行きたい。

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