ローカル線の旅が全国的に人気上昇中だ。岩手県大船渡市の中心にある盛(さかり)駅から北へ向かって釜石まで走る三陸鉄道南リアス線は時間にして約1時間ほどだが、「あまちゃん」で有名になった宮古~久慈間(約1時間40分)の北リアス線とともに心に残る小さな旅を体験できる。

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始発駅の盛駅の駅舎で売っている100円の入れたてのコーヒーを片手にかわいらしい車両1両の電車に乗り込んで盛駅を出発すると、電車は鉄橋を渡って内陸にゆるやかにカーブしやがて小さなトンネルが連続する。ああ、そうなんだ!と三陸鉄道の特徴に気づく。昔から津波の多い三陸沿岸では宿命とも言える鉄道設計がなされており、線路は海岸線を避け山間部側の高台を一直線に走っているのだ。三陸の人の苦労と知恵に思いをはせる。それでも海は近く、ときおり青い入り江が見え隠れする。

盛から陸前赤崎、綾里(りょうり)、恋し浜、甫嶺(ほれい)、三陸、吉浜、唐丹(とうに)、平田(へいた)そして終点の釜石まで無人駅が続くが、今回は残念ながら三陸での折り返しだ。綾里には漁港があるようだが、個性的なその地名には引かれるものがある。唐丹は確か牡蠣の養殖で有名な漁港だ。

恋し浜駅から見下ろすと「ホタテデッキ」

恋し浜駅から見下ろすと「ホタテデッキ」 ホタテ、お土産、Tシャツ、のみもの・アイスとある。

恋し浜駅からは越喜来湾(おきらいわん)の一部が望める。もともとの駅名は「小石浜」だったが2009年に「恋し浜」に改称されたという。いいですね恋し浜―老いも若きも。ここは「恋し浜ホタテ」の産地だ。ホームの小さな建物(駅舎ではないようだが)には絵馬代わりのホタテの貝殻が沢山ぶら下がり、恋愛成就を祈願するパワースポットになっている。
高台の駅のホームからふと下を見下ろすとデッキ付きのウッドハウスが見えた。「恋し浜ホタテデッキ」とあるではないか。 今年8月1日にオープンした特産ホタテのバーベキューの楽しめる住民、ボランティア、観光客の交流拠点施設と後で分かった。地元のダイバー仲間とボランティアらが手弁当で完成させたという。三陸鉄道南リアス線の新名所誕生!

もうひとつ、この三陸鉄道に今年1月に名物が増えた。三鉄釜石駅で予約販売している「三賛六(さんさんろく)弁当」だ。東京恵比寿「賛否両論」の笠原シェフと大槌町の海産物店の「六串(むくし)商店」のコラボによる特製弁当(1,620円税込み)でホタテのおかき揚げ、雲丹入り玉子焼き、牡蠣と茎ワカメのしぐれ煮、めかぶとキュウリのあえ物、あわびのやわらか煮、ちょろぎの酢漬け、鮭の炊き込みごはんイクラ乗せと三陸の特産物が詰まっている。次回来るときの楽しみにしておこう。三陸の風土文化が伝わってくる忘れがたい「さんてつ」の小さな旅だった。

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